派遣社員が増えた理由
派遣会社とは働き手を派遣社員として働く場所を紹介し、仲介してくれる会社のことを指します。
近年、働き手を求める企業は派遣社員を積極的に雇う傾向にありました。
その理由として、企業の経営状態や景気によって、派遣社員に対し、不要となったら契約を解除または更新しなければいいので労働者の人数調整、すなわち人件費を調整しやすいことが上げられます。
また、派遣社員の場合、仲介する派遣会社が存在するため、基本的には正社員に支払う人件費よりも派遣社員に支払う人件費の方が高くはなりますが、雇用保険料や福利厚生またボーナスなどの特別手当を派遣社員に対して支払う必要がないため、結局は正社員と金銭的負担はさほど変わらないことになるのが派遣社員の受け入れを広げる理由となっています。
派遣会社は企業と雇用契約を結びます。
ですので派遣先で働く派遣社員は直接、派遣先企業との雇用契約は存在しないことになります。
この関係から派遣社員の給与は、派遣先企業から直接支払われるのではなく派遣会社から支払われます。
派遣社員は派遣先企業と雇用契約が結ばれていないので、職場で理不尽な扱いを受けたなどのトラブルに関しては派遣先企業に対してではなく、派遣会社に対して訴え、改善を要求する事になります。
派遣会社は派遣社員が働いたその給与から一部徴収し利益を出しているわけですが徴収する金額が大きく、派遣社員に渡る金額が低くなっていることが批判の対象となっていました。
そして、2008年に起きた突然の金融危機により”派遣切り”と呼ばれる社会問題が発生しました。
派遣切りの実態
今回のような突然の契約打ち切りは正当なものであったのか?
そのような疑問の声がたくさん上がっています。
派遣先企業側は、「景気が悪くなり、仕事が減ったら外部の人間である派遣社員から手放すのは自然なこと」などと意見しているところが多いようです。
しかし、派遣期間満了後の契約終了だけでなく、満了以前の契約打ち切りも横行しており、世界的不況を理由にするとはいえ、切られた派遣労働者のその後の生活も鑑みない横暴な手段について、人権問題からの観点や企業のモラルから問題視されています。
満了以前の契約打ち切りは労働基準法にも抵触するともされており、派遣労働者が企業に対して訴えを起こすケースも目立っているのが実態です。
景気の良いときは月に150時間を超える長時間労働を強制させておきながら、景気が悪化したら突然解雇通告をするなど、企業が行ってきた派遣社員に対する扱いの不当性について今になって、浮き彫りになってきています。